腕時計徒然記

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腕時計の小世界 その20.1 紫電改とブライトリング編

 今日は視点を「宇宙」から「大空」へと変えて見ましょう。

 昨日からの引き続きとなりますが、ブライトリングについてです。

 かなり、真面目でマニアックな話になりますので、ご了承下さい。
 (なお、以下の文章に関しては聞き書きですし、当事者は亡くなっていますが私を含めた関係者が生存していますので、フィクションとしてお読み下さい。また、この文章に関するご質問等には一切お答え出来ません事をご了承下さい)


 私がブライトリングという時計を知ったのは、小学生の頃です。
 初めて見たブライトリングは、大伯父さんが持っていた1940年代製のクロノグラフでした。
 文字盤が焼けて茶色くなったそのクロノグラフは、皺深い大伯父さんの顔のように、他とは別格な存在感がありました。

 大伯父さんは、その時計を1945(昭和20年)3月19日の数日後に入手したそうです。

 以下長文ですが、お許し下さい。


当時、大伯父さんは、旧帝国海軍の戦闘機搭乗員で、フィリピンより引揚げた後、海軍最強と言われた松山にある第三四三海軍航空隊の戦闘第七〇一飛行隊で、新鋭戦闘機であった紫電21型(所謂、「紫電改」といわれているもの)に搭乗し、本土防空戦に従事していたそうです。

 3月19日に呉軍港がアメリカ機動部隊の艦載機約1000機に襲われたとき、松山の三四三空も全力出動し、終日、邀撃戦闘を行いました。

 第一次邀撃で上がった時は、優位遭遇戦(こちらの高度が上で後上方よりの接敵)だったのですが、アメリカ軍機の数が多すぎて、第二次以降は劣位対抗戦(高度が低くお互いすれ違う格好となる)となるような、大乱戦だったそうです。

 その日、松山上空で大伯父さんは、アメリカの空母「ホーネット」から発進したグラマンF6F-5戦闘機群と交戦。その内の1機を撃墜したそうです。
 落下傘で降下するその飛行士を確認してから、次の敵に向かったそうです。
フィリピンでエンジン故障で不時着した際、敵地へ降下する事がどんなに困難であるか実地で体験している大伯父さんは、惻隠の情を禁じえなかったそうです。

 (余談ですが、第一次大戦の頃と違い、第二次大戦中は騎士道精神も廃れ、落下傘降下する飛行士に銃撃したり、落下傘のヒモを切ったりした行為が多かったようです。日本軍は陸海軍ともに武士道精神でやらなかったそうですが・・・)

 その戦闘の後、松山の憲兵隊に、撃墜されて落下傘降下し捕虜になったアメリカ人がいっぱい居るというので、その時、撃墜した飛行士も居るかどうか野次馬根性で見に行ったそうです。
 そこで、大伯父さんは、自分が撃墜したアメリカ海軍の某大尉と対面した訳です。
 目と目が合った一瞬で、お互いが判ったそうです。
 命をやり取りする戦場では、一瞥した一瞬が鮮烈に永続するのでしょうね。
 通訳を交えて聞いた話では、空中で大伯父さんに撃墜されたその大尉は、地上で今度は、棒を持った野良着のおばさんや、腰の曲がったお婆さんの大群(当時の銃後にはそのような人しか居なかったのでしょう)に襲われ、袋叩きに合ったそうです。

 「日本の女性は強くて勇ましい」
 と、言っていたそうですが、私はかみさんを見てると、アメリカの女性も全然負けて無い、と思いますよ。 失礼、話を元に戻しましょう。

 でも、それが幸いして、死なずに済んだのです。男ばかりだと死んでいたでしょう。力の弱い人たちに襲われたから助かったのだと言えます。

 (また、余談ですが、その前の2月16~17日にアメリカ軍艦載機が関東地区に来襲した時、横須賀海軍航空隊の落下傘降下した戦闘機搭乗員が、アメリカ人と間違えられ民間人に撲殺される事件が発生し、その後、陸海軍は飛行服や飛行帽に必ず日の丸や日章旗をつける事を義務付けました。その頃は飛行服の袖にしか付いてなかったそうです)

 これから、呉の海軍刑務所に収監されるという大尉は、腕から時計を外して、大伯父さんに「フレンドシップ」といって、渡してくれたそうです。

 それが、大伯父さんのブライトリングのクロノグラフだったのです。
 精工舎から応召で来ていた、兵器整備分隊の計器担当の班長が、中の機械を見て、
 「あぁ~~!!日本でもこんな機械を大量に作ることが出来れば、戦争に勝てるのになぁ!!」
 と、絶叫したそうです。
 当時の海軍が採用していた精工舎の懐中型のカラフと、多分、ビーナスのムーブメントが入っていたそのクロノグラフじゃ、完成度において雲泥の差だったのだと思います。

 その後、その大尉は神奈川の大船刑務所に移され、敗戦後開放されてアメリカに帰ったそうです。

 その後、二人は会うことは無かったですが、死ぬまでお互い連絡を取り合っていました。

 自分の姪がアメリカ人と結婚したり、可愛がってたその息子もアメリカ人と結婚したりするのを見ながら、貧乏ゆえに職業軍人を選択せざるを得ず、苛烈な戦争に我が身を投じた大伯父さんは死ぬまで、
 「平和が一番だ!」
を口癖に、生涯独身を貫き、91歳の大往生を遂げました。

 (女子挺身隊の朝鮮女性とのラブロマンスもあったようですが、ラバウルから内地への引揚船がアメリカ軍潜水艦の魚雷攻撃を受け、その女性を含め、女子挺身隊の全員が死亡したそうです。 あっ、これもまた別の話でしたね)

 そして、形見として私が貰ったそのブライトリングは、今も故郷にある大きな仏壇の中、大伯父さんの位牌の前に飾ってある事でしょう。

 スイスのラ・ショー=ド=フォンのブライトリングの工房から、大西洋の波頭を越え、アメリカ大陸を横断したかパナマ運河を通過し、そこからは、空母艦載機と一緒に太平洋の荒波を越えて、極東の島国の内海付近で陸に降り、海峡を渡り、今は北の大地にて70年近い時の歩みを止め、静謐の内に居る訳です。

 たぶん、私はそのブライトリングを腕に巻く事は無いと思います。
 そうする資格が無いと思いますから・・・

 以上が、筆者のブライトリングに関する話の断片です。

 やはり、ブライトリングに似合うのは大空ですね!

 その後、私からその話を聞いたブライトリング好きの義父(ちなみに空軍でベトナム従軍歴有り)が、40年代の初代クロノマットを譲ってくれました。
 それは、今、代々その時計を修理していた時計師のところで、再生修理中です。
 何せ、日本はアメリカ西海岸と比べると、熱帯並みの湿度なもので・・・
 ブライトリングは日本よりアメリカの方が販売数が段違いに多く、補修部品も豊富で安いらしいのです。
 出来上がりが楽しみです。
 


↓そして、現在、我が家にあるブライトリングたちは・・・↓
ブライトリング集合


オールドナビタイマーⅡ
 93年の暮れに最初に買った「オールドナビタイマーⅡ」です。
 最初は黒のカーフベルトでしたが、約10万円はたいて、ポリッシュタイプの7連ナビタイマーブレスレットに交換。印象が、がらっと変わりました。
 夜光の焼けが良い感じでしょう?経年とともに、私とこの時計にも良いエイジングが出てくると良いのですが・・・
 私はそう言う意味で、全アラビア数字のナビタイマーやコスモノートが好きですねぇ。

↓現行品↓


クロノマット
 次に98年に買った「クロノマットGT」です。文字盤は青です。
 昨年の新年会で飲み過ぎて転倒、したたかにアスファルトに強打し、ケースサイドに打痕、インダイヤルのリングが外れ、針の夜光塗料が落ち、不動状態。ご覧の様な悲惨な状況に・・・
 早く直したいのですが、初代クロノマットのレストアに幾ら掛かるか判らないので、冬眠中。(まあ、義父の事ですから、全額払ってくれるとは思いますますが)
 ちなみに、ポリッシュタイプの5連パイロットブレスも傷だらけです。
 文字板の色や防水性、ケースの形から夏場御用達だったのですが、今シーズンは出来ませんでした。
 ふぅ~~・・・

↓現行品↓


モンブリラン


IMG_7566.jpg
 04年にかみさんを騙して(?)買った「モンブリラン」と、前職の退職記念で買った「ナビタイマー50周年記念」です。
 その話はいづれ、また。
 職場が変わって、スーツを脱ぎ捨ててから、あまり出が無いのが残念です。

↓現行品↓



 いろいろな「ブライトリング」はここをクリック



 どうも、カメラが一瞬水没してから調子が悪くて、画像が鮮明じゃなくて申し訳ありません。
 騙し騙し使っています。

 実は、愛車のミニの雨漏りで、床に置いてあったバッグが水没してしまったのです。
 どんなボロ車ですって?!
 何せかみさんと同じ歳でして・・・

 いやはや、女房と車は新しい方が・・・・・・むにゃむにゃ

 【追記2013/03/03】
 昭和20年3月19日の「呉軍港上空邀撃戦」はここここを観ると良く判りますよ!
 いや~、実に良く出来たCGです。感動しました。



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[ 2011/01/21 17:15 ] 腕時計の小世界 | TB(0) | CM(0)
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